sweetlove
「俺の気持ち聞いてくれる?」と拓斗さんは言う。

「はい!」と私が言うと、

「みずきちゃんをホントは苦しめたくないんだ。アソコに行くってことは、間違いなく苦しむ…考え方も多分通用しないと思う…それでもアソコに決めた理由は何なのか、気になるんだ」と拓斗さんは言った。

「私も最初思いました。けど、拓斗さんが苦しんだ場所だから、その場所で、私も拓斗さんが感じた苦しみを経験しようと思ったんです」私がそう言うと、拓斗さんはほんとに辛そうな顔をした。

「嘘です…」と私は笑った。

ホントはそんなこと理由にしたくないし、ならない。

今後のことを考えると、多分この選択が間違いじゃなかったと思えるはず。

だから、拓斗さんには申し訳ないけど堂々と胸を張ってプレイしたい。

ー4月

いよいよ私の本格的な練習が始まった。

初日から派手に練習をさせられる。エゲツくキツく、食事はろくに喉を通らず、吐く毎日が何週間も、何ヶ月も続いた。

筋肉量は増えてるのかどうかわからないくらいで、栄養バランスは取れてる自信がない。

拓斗さんが無理すんなよ。きついなら辞めていいと何度も言ってくれたけど…自分の中の何かが私を突き動かした。

ううん、何となく?辞めれない気がした。

一年の契約期間は守りたい。それなりの活躍をして…

私は毎日苦しみながらもがく。

拓斗さんが支えてくれるから。ううん、拓斗さんだけじゃない。

私は色んな人に助けてもらい、支えて貰ってる。

夏になって私の体も少し落ち着いてきた。

相変わらず、ご飯はあまり食べられないけど。

練習には馴染み、少しずつ覚醒し始めた。

拓斗さんは変わらず、心身ともに支えてくれた。

私のデビュー戦は入社して半年が経った頃だった。

この頃には涼はプロ選手としてバリバリ活躍していた。
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