おにいちゃんの友達
足に力が入らないまま、ふらふらと公園の外に出た。

眩しいくらいに路上は明るかった。

車の行き交う喧騒も、普段ならうるさいと思うのに逆にそれがありがたいくらいに心細い気持ちだった。

せっかく兄が見つかったのに。

また3人、ばらばらだよ。

こんなんじゃ、どんなに繋がりたくても繋がらないよ。

ポケットから出したハンカチで涙をぬぐった。

路上に面したバス停のベンチに座る。

今日はなんて長い一日だったんだろう。

最後は万事うまくいって笑顔で3人帰るはずだったのに。

その時、スマホがふるえた。

兄からだった。

「もしもし。」

力なく電話に出た。

「俺。待たせて悪かったな。今どこ?」

兄の声は思っていたよりも普通だった。

どうしてあんな告白をした後でこうも冷静に話せるものなのか、胸にふつふつと怒りに似た感情が沸いてきた。

だけど、ここで私が怒ったところでどうにもならない。

「公園出たところのバス停。」

「そっか、今からそっち迎えに行くから。」

「マサキは?」

思わず聞いていた。

「マサキ?」

「うん。一緒でしょ?」

「先に帰った。」

「そう。」

やっぱり先に帰ったんだ。

そりゃそうだよね。これ以上一緒になんていられない。

私がいたら尚更だよ。

スマホを切って兄を待った。

すぐに兄はバス停にやってきた。

走ってきたのか、少し息が荒い。

「ごめん。遅くなって。さっき母さんにも電話入れといたから。」

そのまま兄は塾の駐輪場に置いていた自転車を取りに行った。

そして、

「久しぶりに二人乗りしようか。」

と言って、私を自転車の後ろに座るよう促した。




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