おにいちゃんの友達
兄と二人乗りなんて、中学1年の時以来だな。
兄は、時々自転車で私の塾の送り迎えをしてくれていた。
あの時の兄は優しかった。
塾で遅くなるときは、どんなに疲れていても自転車で迎えに来てくれたっけ。
兄の背中に掴まる。
当時よりも、分厚くて固い背中。
今の方が、自転車のこぎ方も安定感があった。
「マサキとはちゃんと話できた?」
兄の背中に問いかける。
「ああ。」
背中から兄の低音が響く。
「マサキに聞いたけど、ユイカにも随分心配かけちゃったみたいだな。ごめん。もう大丈夫だから。」
「ほんとに?」
「うん。今日、あゆみおばちゃんとも色々話せて随分すっきりした。」
本当にすっきりした?心の中で問いかけた。
「週末一緒におばちゃんちに行こうって言ってたのに。どうして今日1人で行ったの?」
「お前がいるところで話しにくいことがあるなぁって、急に思い立って行ったんだ。でも、まさかこんな大事になると思わなくてさ。」
大事になるわよ。
しかも学校も無断で休んでるなんてさ。
「おばちゃんはどうだった?」
「うん、思ってたよりも元気にしてたけど、随分痩せたな。食欲もないみたいだから、明日はお前もあんまり長居するなよ。おばちゃん疲れちゃうから。」
「わかった。」
んなこと、お兄ちゃんに言われなくてもそうするわよ。
そう言いそうになってやめた。
兄の雰囲気からは、さっきのマサキとのやりとりのすさまじさが微塵も感じられないことに違和感を覚える。
私が聞いた話は、夢だったんじゃないかって思うくらい。
夢であってほしいと思うけど。
兄は、時々自転車で私の塾の送り迎えをしてくれていた。
あの時の兄は優しかった。
塾で遅くなるときは、どんなに疲れていても自転車で迎えに来てくれたっけ。
兄の背中に掴まる。
当時よりも、分厚くて固い背中。
今の方が、自転車のこぎ方も安定感があった。
「マサキとはちゃんと話できた?」
兄の背中に問いかける。
「ああ。」
背中から兄の低音が響く。
「マサキに聞いたけど、ユイカにも随分心配かけちゃったみたいだな。ごめん。もう大丈夫だから。」
「ほんとに?」
「うん。今日、あゆみおばちゃんとも色々話せて随分すっきりした。」
本当にすっきりした?心の中で問いかけた。
「週末一緒におばちゃんちに行こうって言ってたのに。どうして今日1人で行ったの?」
「お前がいるところで話しにくいことがあるなぁって、急に思い立って行ったんだ。でも、まさかこんな大事になると思わなくてさ。」
大事になるわよ。
しかも学校も無断で休んでるなんてさ。
「おばちゃんはどうだった?」
「うん、思ってたよりも元気にしてたけど、随分痩せたな。食欲もないみたいだから、明日はお前もあんまり長居するなよ。おばちゃん疲れちゃうから。」
「わかった。」
んなこと、お兄ちゃんに言われなくてもそうするわよ。
そう言いそうになってやめた。
兄の雰囲気からは、さっきのマサキとのやりとりのすさまじさが微塵も感じられないことに違和感を覚える。
私が聞いた話は、夢だったんじゃないかって思うくらい。
夢であってほしいと思うけど。