おにいちゃんの友達
「おはよー!ユイカ。」

学校に一番乗りしていた私の肩を叩いたのはマドカだった。

「今日はよろしくね。マドカ。」

「うん!私も、最高潮にはりきっちゃうよー。」

応援団実行委員メンバーは、他の学生よりも1時間ほど早く集合をかけていた。

グランドに色々と準備しなければならないのと、あと、諸々の段取りを確認するために。

これも、ハルトの指示があったから慌てず済んだ。

メンバー達が全員そろったのを確認する。

少し緊張しながら咳払いした。

「あのー。今日は委員長の山崎くんが体調不良のため急遽欠席になりました。」

そう言った途端、メンバー達の不安のざわめきが聞こえてきた。

そのざわめきで一瞬自分を見失いかける。

すぐ横についてくれてたマドカが私の背中をポンポンと叩いた。

「なので、今日は副委員長の私、河野が代行でやらせてもらいます。一応、段取りは山崎くんから預かってますので、今から再度皆にも確認します。」

ドキドキしながら、ハルトの作ってくれた段取りメモを読み上げた。

全員分の役割分担。

タイムスケジュール。

それぞれのパートリーダーへの申し送り。

完璧だった。

読み上げながら、そばにハルトがいるような錯覚に陥る。

そして、だんだんと自分の緊張も落ち着いてきていた。

メンバー達もその内容を確認して安心したのか、最初のざわつきもいつのまにか治まっていた。

「今日はよろしくお願いします!」

自分でも驚くほど大きな声で言っていた。

「よろしくお願いします!」

メンバー達も私の勢いに圧倒されたのか、呼応するかのように言った。

マドカと顔を見合わせる。

マドカの顔は心なしか上気していた。

そして笑顔で私に頷いた。

その後、皆手際よく準備をして、各教室に戻って行った。



< 133 / 152 >

この作品をシェア

pagetop