おにいちゃんの友達
応援合戦の準備をしながら、頭の中はマサキのことでいっぱいだった。

マサキはケガはしてないのかな。

先生に怒られてるだろうけど、ハリボテのことちゃんと説明できてるんだろうか。

高校生活最後の選抜対抗リレーに出れなかったマサキは落ち込んでないだろうか。

色んな心配事が頭をよぎる。

「見つかったんだな。」

私に手を挙げて近づいてきた応援団のリーダーににハリボテを託した。

「俺達の応援団長紹介しまーす!」

リーダが威勢良く叫びながらハリボテを掲げながら皆の前に登場した。

2,3年生からどっと笑いが起きる。

女子の先輩達からは「かわいい!」という声がちらほら聞こえた。

周りの反応は上々だった。

マサキが探し出してくれたお陰だ。

ハリボテを中央に置いて、応援合戦が始まった。

よかった。

ハリボテが間に合って本当によかった。

これで、ハルトにも無事応援合戦ができたこと報告できる。

ホッとしたはずなのに、マサキのことを思うと胸がつぶれそうだった。

ハリボテが穏やかな表情で笑ってる。

マサキにどれだけありがとう、ごめんねって言えばいいのかわからない。

こんな私を、マサキは一体どう思ってるんだろう。

マサキにきちんと言わなくちゃ。

体育祭が終わったら、絶対マサキに会いに行こう。絶対。

私はぐっとにぎりこぼしに力を入れて、応援合戦に混じって声を張り上げた。
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