おにいちゃんの友達
高校生活最初の体育祭。

そして、初めての応援団実行委員会は、皆の歓声に包まれて幕を閉じた。

ハリボテは想像以上に好評で、しばらく学校のシンボルとして靴箱スペースの飾り棚にかざっておくことになった。

先生からも、随分褒められる。こんなに褒められたのって小学生以来じゃないかしら?

でも、本当に褒められるべき人はここにはいない。

ハルト、そして、ハリボテを見つけてきてくれたマサキ。

教室でのホームルームが終わり、マサキのことが気になって、マドカと職員室に向かう。

一体どうなったんだろう。

わずかに開いていた職員室の扉からそっと中を覗いた。

奧の応接セットにマサキとユウヤの仲間と思われる何人かが向かい合って座っている。

マサキの頬には血がにじんでいて、ガーゼで応急手当がされていた。

こんなに痛い思いするような事態に巻き込んでしまったことに、今更ながら胸が痛んだ。

間に入っていた先生が、マサキの肩を軽く叩いた。

マサキは立ち上がって、一礼すると私達のいる扉の方へ歩いてきた。

どうやら話は終わったみたいだ。

まさか、停学処分なんてことにはならないよね?

不安な気持ちでマサキが出てくるのを待った。

扉がガラガラと開き、痛々しい顔のマサキが出てきた。

すぐに私達の姿を見つける。

「お前ら何やってんだ。」

「マサキ、大丈夫?今日は本当にごめんなさい。」

マサキと目が合った瞬間そう言わずにはいられなかった。

「なんだよ。お前、そんなしおらしいこといつから言えるようになったんだよ。」

マサキは照れくさそうに短い前髪を掻き上げた。

マドカは私に目配せすると、

「ごめん、今日はちょっと早く帰る用事があるから先帰るね。」

と言って、マサキにペコリとお辞儀をしてその場から走り去ってしまった。

マドカのことだから、きっと二人で話をさせてあげたいってことだったんだろう。

今日ばかりはその気持ちがとてもありがたい。

久しぶりにまたマサキと二人で肩を並べている。

マサキにきちんと伝えないといけないことがある。

深く、ゆっくりと深呼吸をした。
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