おにいちゃんの友達
ポケットからスマホを取り出すと、母からの着信。

マドカがストローでソーダーを吸い込みながら、「誰?」って顔をした。

「お母さんから。何だろ。嫌な予感~。」

せっかくマドカと楽しんでるってのに、タイミング悪いったら。

「もしもし。」

『ユイカ?あんた今どこ?』

「えー、ちょっと友達と遊んでる。」

『友達って?』

最近、母は、やけに誰とつるんでるとか何してるとかえらく気にしてくんのよね。

「マドカだって。」

『あ、そう。どうしよっかな。』

自分から電話かけてきておいて、『どうしよっかな』はないだろって。

「何?」

少しイライラして聞き返す。

『今日ね、足怪我して部活休んでるマサキくんが久しぶりにうちに来てるのよ。』

マサキ。

胸の奥がカッと熱くなった。

マドカに悟られないよう、なるべく自然な感じでマドカからゆっくり体を背けた。

「で?」

心持ち声のトーンが明るくなってる自分に笑える。

『もしユイカが早く帰ってくるんなら、せっかくだし一緒に晩御飯食べに行ってもいいかなぁって。マサキくん、えらく落ち込んでるみたいだから。』

やっぱり・・・か。

だけど、だけど、あんなメンバーでご飯なんか一緒に食べられない。

多分、一口も喉を通っていかないような気がする。

そしたら、また変な奴ってマサキに思われるに違いない。

返事をするのを躊躇った。


< 14 / 152 >

この作品をシェア

pagetop