おにいちゃんの友達
「だってさ、ユイカが学級副委員長に立候補したって?」

「そんな驚くことかな。」

「驚くよー。元々、そんな目立つポジション避けてたし、嫌いだったじゃん。どうしてまた学級副委員長なんて目立つ場所に立候補なんかしたの?」

「えー、だってさぁ・・・。」

「僕がお願いしたんだ。」

その時、背後から山崎ハルトの声がした。

「ハルト?」

マドカは私とハルトの顔を交互に見た。

「ハルトが学級委員長やるから、私に副委員長やってほしいって。頼まれたのよ。まぁ、1年の時の応援団実行委員の名残みたいな感じで引き受けちゃったんだよね。」

ハルトは、マドカの正面に立って言った。

「そうなんだ。結局、河野さんは何もやらなさそうに見えてたけど、かなり頼りになったし、一緒に組むにはベストな相手だなって思ってさ。」

「えらく上から目線ね。」

そう言い返したものの、ハルトの言い方には全く嫌な印象はなかった。

マドカは意味深に笑みを浮かべて「ふぅん。」と頷いていた。

そして、ハルトが自分の席に戻って行った後、私の耳元でささやいた。

「前にさ、ユイカに彼氏いるの?って聞いてきた男子がいるって言ってたでしょ?」

「うん?そうだったっけ。」

「あれ、ハルトなんだ。」

ハルト??

「へぇ。」

そうなんだ。

そんなこと言われたら、これから一緒に学級のお世話しなきゃなんないのに、変に意識しちゃうじゃない?

平気な顔をしようとすればするほど、顔が熱くなっていくのがわかった。

「ユイカ、顔赤いんですけど。」

マドカは「くくく」と変な笑い声を立てて、自分のクラスへ走って帰って行った。



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