おにいちゃんの友達
誰かにプレゼントして、こうやって喜んでくれてる顔を見るのってなんてハッピーなんだろう。

おばちゃんの嬉しそうな顔を見ながら、まるで自分がもらったみたいに感動した。

「おばちゃん、前から犬飼いたいって言ってたでしょ?さすがに本物はプレゼントできないけど、これだったらいいかなって。」

「うんうん。ほんとだ。犬飼ってるみたいな気持ちになるよ。」

3匹の犬たちは、おばちゃんの腕の下でユラユラ楽しげに揺れていた。

おばちゃん、何気に泣いてる??

私に背を向けて、片手で瞼を押さえていた。

「何かジュースでも飲む?」

顔に手をやったまま、おばちゃんはキッチンへ入って行った。

やかんでお湯の沸かす音が鳴り出した。

「この年になると、どうも涙もろくなっちゃってねぇ。嫌だわ。でも、ユイカの気持ち、すっごく嬉しかったの。大事にするわね。」

おばちゃんは右手でモールを持って、ユラユラ揺らした。

お昼のメニューは、私が期待していたスペアリブの甘辛煮込みとミートソースパスタ、鯛のカルパッチョにポテトサラダとカニクリームコロッケ。

私一人のためにどんなけのご馳走作ってんだか。

でも、すごくおいしかった。

「ユイカは相変わらずよく食べるのね。見てて気持ちいいわ。」

あゆみおばちゃんは嬉しそうに笑いながら、お茶を飲んだ。

「あれ?おばちゃんは食べないの?」

あまり食べていないおばちゃんに気づいて尋ねた。

「ううん。最近ね、あまり食欲がないの。料理は好きだからいつも作りすぎちゃって。だけど今日は完食してくれる人がいるから嬉しいわ。」

「食欲ないの?」

おばちゃんは、少し寂しそうに笑って頷いた。

こないだの母との話の件だろうか。

急に不安な気持ちに襲われる。

母は、おばちゃんに直接聞けばいいって言ってたけど。

なんとなく聞く勇気が今はなかった。


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