おにいちゃんの友達
「自分の気持ちに気がついていながら、彼にはとうとう打ち明けることはなかったわ。彼も私に対して何も言わなかった。大学を卒業して、数年後に彼はその彼女と結婚したの。私にも結婚前に「結婚する」ってきちんと報告してくれた。だけど、それでも私は何も言えなかったの。なんていうか、この関係を崩したくなかったのね。もし私が好きっていう気持ちを伝えたら、彼はきっと困るだろうって勝手に思ってたから。」
パウンドケーキに入っている乾燥フルーツをフォークで一つ突き刺して口に入れた。
妙に甘酸っぱい。
きっと単独で食べるよりもケーキと一緒に食べなきゃおいしくないんだわって思う。
「でも、その彼もひょっとしたらおばちゃんと同じ気持ちだったのかもしれないね。」
フルーツを紅茶と一緒に流し込んだ。
「あら、なかなか鋭いこと言ってくれるじゃない?」
おばちゃんは笑った。
「後からその彼の友達から聞いた話なんだけど、実は彼も私のことが好きだったんだって。ユイカの言うように私と同じ気持ちだったから言えなかったって。聞いた後、なぁんだって思ったわ。どうして、もっと思い切って自分の気持ち言わなかったんだろうって。そしたら、今頃また違う人生だったかもしれないなって思うの。」
「ほんとだよ。今一人じゃなかったかもしれないじゃん。」
「そうよね。そしたら、もう少し楽しかったかもしれないわね。」
おばちゃんはふふふと笑った。
「だけど、そういう選択をしなかったのは私自身だし、これが私の人生なわけ。後悔したってしょうがないわ。それに、結婚しなかったから、仕事にも集中できたし、今校長にまで上り詰めることもできた。私のした選択は間違ってなかったって思いたいわ。」
「ふぅん。そんなに仕事好きなんだ。私だったらやっぱり結婚したいな。」
お皿に残ったケーキの粒をきれいにさらえながら言った。
「そうね。結婚もいいわよね。でも、色んな人生があるの。何が幸せかなんて、その時になってみないとわからないものよ。ユイカは、これからの人生、選択肢がたくさんあると思うけど、しっかり見極めて行ってね。」
「うん。だけど選択するのって難しいよね。本と難しい。」
「今、一番悩んでることって何?ようやく今日の本題ね。」
あゆみおばちゃんは、紅茶を一口飲んだ。
パウンドケーキに入っている乾燥フルーツをフォークで一つ突き刺して口に入れた。
妙に甘酸っぱい。
きっと単独で食べるよりもケーキと一緒に食べなきゃおいしくないんだわって思う。
「でも、その彼もひょっとしたらおばちゃんと同じ気持ちだったのかもしれないね。」
フルーツを紅茶と一緒に流し込んだ。
「あら、なかなか鋭いこと言ってくれるじゃない?」
おばちゃんは笑った。
「後からその彼の友達から聞いた話なんだけど、実は彼も私のことが好きだったんだって。ユイカの言うように私と同じ気持ちだったから言えなかったって。聞いた後、なぁんだって思ったわ。どうして、もっと思い切って自分の気持ち言わなかったんだろうって。そしたら、今頃また違う人生だったかもしれないなって思うの。」
「ほんとだよ。今一人じゃなかったかもしれないじゃん。」
「そうよね。そしたら、もう少し楽しかったかもしれないわね。」
おばちゃんはふふふと笑った。
「だけど、そういう選択をしなかったのは私自身だし、これが私の人生なわけ。後悔したってしょうがないわ。それに、結婚しなかったから、仕事にも集中できたし、今校長にまで上り詰めることもできた。私のした選択は間違ってなかったって思いたいわ。」
「ふぅん。そんなに仕事好きなんだ。私だったらやっぱり結婚したいな。」
お皿に残ったケーキの粒をきれいにさらえながら言った。
「そうね。結婚もいいわよね。でも、色んな人生があるの。何が幸せかなんて、その時になってみないとわからないものよ。ユイカは、これからの人生、選択肢がたくさんあると思うけど、しっかり見極めて行ってね。」
「うん。だけど選択するのって難しいよね。本と難しい。」
「今、一番悩んでることって何?ようやく今日の本題ね。」
あゆみおばちゃんは、紅茶を一口飲んだ。