おにいちゃんの友達
お兄ちゃんもおばちゃんに相談したらいいのに。

ふと、母が兄を心配していたことを思い出した。

だけど、男っていうのはやっかいな生き物で素直に誰かに相談するなんてなかなかしないのよねぇ。

兄はとりわけプライドが高いっていうか。

自分を信じれないのは、きっと失敗を恐れてるからなんだ。

でも、おばちゃんの話を聞いてたら、例え間違った方向へ行っても何度でもやり直せるような気がしてきた。

そうだよね。

失敗したところを終点って思わなければいいんだ。

さすがあゆみおばちゃんだ。

いつだって、私の目の前をぱーっと明るくしてくれる。


「私はね、後悔って言葉大嫌いなの。」

その時、ふいにおばちゃんが言った。

「後悔?」

「後悔っていうだけで自分のやってきたことを否定しながら自分を甘えさせてる言葉に感じるの。どんなことも、後悔なんかしちゃだめ。例えそれが自分にとって悪い方向に行ってると思ったとしても、それは自分で決めた道。きっと間違ってないと信じて突き進むしかないのよ。だから、私はこれまで後悔なんて一つもしてない。今の自分が最高に幸せだって思ってるの。」

「すごいポジティブだよね。」

私は笑った。

だけど、後悔しない生き方なんてできるはずもないって心の中で思っていた。

私なんてずーっと後悔ばっかりだもん。

何であんなこと言っちゃったんだろうとか、やっちゃったんだろうとか。

それでよかったなんか、言えない。

マサキのことだって。


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