おにいちゃんの友達
7章 押さえきれない気持ち
翌日。

山崎ハルトとは毎日しゃべるようになってるな。

朝から、切れ長の目で私の前に現れた。

「河野さん、おはよう。」

「おはよう。」

「・・・。」

1時限目の用意をしながら、ハルトからの言葉を待っていた。

なのに、奴は何も言わない。

ただ、私の正面に立ってじっとしている。

まるで私からの言葉を待ってるみたいに。

話しかけてきたのはハルトなわけで、どうして私からしゃべんなきゃなんないわけ?

ハルトの目をじっと見る。

「何?」

ハルトは軽くため息をついた。

「覚えてる?」

「何を?」

「昨日の話。」

「覚えてるわよ。ハリボテでしょ。」

あ。

女子のメンバーにマスコットキャラを考えてきてもらうよう伝えないといけないんだったっけ。

「はいはい、女子メンバーに例のキャラ案考えてきてもらうのを連絡する件ね。今日皆に伝えるから大丈夫よ。」

危ない危ない。

すっかり忘れてた。

それにしても、それならそれではっきり言えばいいものを、私が思い出すまで待ってるなんて面倒臭い奴だわ。

「よく考えたらメンバー表、河野さんに渡すの忘れてたって思って。」

ハルトは、「はい」と言ってメンバー表を私に差し出した。

ほんとだ。

これがないと誰に連絡すればいいのかわかんなかった。

っていうか、ハルトも私も昨日の時点で気づけよって感じだよね。

「俺も、夕方になると結構疲れてきてぼーっとなってきてさ。気がつかなくてごめん。」

「夕方って疲れるよね。私も全然気づかなかったわ。」

ハルトはかすかに微笑んだ。

夕方疲れるっていうのが、私の疲れるとハルトの疲れるが全然違う意味を持ってるっていうのは後から知ることになるんだけど。

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