キスラバーズ
「いいから言ってるじゃん…」

照れているのか彼はうつむいたまま言う

「…新、ありがとう…っでも私でいいの?」

しつこいと思うけど、確認したかった

優しく抱きよせる新

「お前じゃなきゃダメなんだよ…戻ってこいよ…」

弱々しい新の声が私の耳をくすぐる

そんな声出さないでよ、私だって新じゃなきゃダメなんだよ?

「うん、ありがとう…大好きよ…新。」

私も新を抱きしめた

この感覚が、この時間が、どうしようもなく愛おしい

私達の中の止まった時間がまた流れ始めた

うれしいのに、涙が流れてくる…

止まらない、どうしよう…

泣きじゃくりながら新の背中を掴む

また、睡魔に襲われて眠るまで泣き続けた

目が腫れて赤くなっても泣き続けた

新と過ごす明日を夢見ながら深く深く眠りにつく

もう、苦しみもがく私はそこに居なかった、きっと晴れ晴れとした表情でいるはずだ

ありがとう新、あなたのおかげで私の心は救われたよ…
< 46 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop