キスラバーズ
いつの間にか私は寝てしまったらしい

背中にはタオルケットがかかっていて寒くなかった

「起きた?」

「…ん…私いつから寝てた?」

マジで記憶が曖昧になってる

プチパニック!

「うーん…俺が部屋に帰ってきた時はもう寝てたね。」

「起こしてよー!」

「いや、気持ちよさそうにしてたからさ…わるいかなと思ってさ。」

…確かに

「新どこ行ってたの?私が寝ている間はさ。」

ちょっとした興味からだった

「別に…何もないよ。」

かすかに、空気がピリッとした

「…そう、なら良いよ。」

詳しく聞いても答えないと思うから聞かない

タオルケットを畳み、ソファに置く

「ごめんね、寝ちゃってさ…話す時間なかったね。」

「謝んな、ここはわるいことした訳じゃないしさ。」

うん、まぁ、眠気にはかないませんよ

「…そろそろ帰るね。やっぱり泊まるのは悪いし。」

臆病なだけ、泊まる勇気がない

「やだ、泊まるのは決定!」

眉間にしわを寄せて新が私の腕を掴む

まるでダダをこねる子供のように

新が掴んだ私の手を引いた

「っ!」

新が私をソファに押し倒すような体勢になった
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