Pioneerーあなたは私のパイオニアー
「…お似合いですね〜♪あ、もちろんお世辞や冷やかし抜きでねっ!」
「…へっ!?」
「だーかーら、二人はお似合いだっつうの」
意外過ぎて言葉も出ない。
てっきり茶化されるかと想像していたからだ。先程に恐れていた学年の先生に広まって…なんて事態にもならずに済みそうだ。
一人で優子のありがたきお言葉に感動していると、当の優子に肩を叩かれた。
「じゃ、荒木先生、美月を幸せにしてあげてくださいっ!こいつ恋愛恐怖症治ってないし。ついでに言えば、恋どころか男も知らないんで」
うんうん、幸せにしてあげてね…ん?いやちょっと待て!確かに…そういう意味では…私…男を知らないけど…。前の彼氏とも、そういう雰囲気になったこと無かったし…。
でもそれ、他人が私の彼氏に言うことじゃないよね!?私が言うことだよね!?
武志は武志で、
「へぇ…美月は男を知らないのか~…」
とニコニコ(ニヤニヤ?)しながら私を見ている。
「俺が教えてあげよっか?」
…あ、こいつ変態だ。あと、バカ。
「あら、あなたは完全理系の数学バカだけじゃなく人間的にもバカで変態なのね♡」
「うっせー、男をろくに知らない奴は黙れ」
「まーぁ口の悪い教師カップルだこと」
「「あんたもだよ」」
言い合いをしていると、突然優子が言った。
「あー、バーゲン始まるからそろそろあたし行くわ!んじゃ月曜、学校でね!じゃあね、美月、荒木先生!」
…嵐のようにやって来て、嵐のように去っていきました…。
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