Pioneerーあなたは私のパイオニアー
仕事が終わった後、念のためスマホを確認した。彼から何かアクションがあるかな、って期待してたから。
「…何もない、か…」
予想はしていたが、いざとなると落胆する。
「まぁいいや、帰ろ…」

沈んだ気持ちのまま帰宅した私。
簡単に夕食を作り食べていると、突然チャイムが鳴った。
『ピンポーン』
「…はい、今開けますね」
「優子」
「…?幸樹…!会いたかったぁっ!」
そこには、ずっと待っていた彼の姿が。
「ごめん、昨日は。電話あったの気付かなくて…。先週携帯失くして、今日戻ってきた」
「もう…!ずっと心配してたんだからね?」
そう言いながら何だか泣けてきて、思わず彼に抱きついた。
「…そんなに寂しかった?」
「うん、すっごく」
「じゃ、一緒に住む?」
「うん。…よろしくお願いします」
これまではずっと、距離は近くても心が離れていると感じていた。
それを遠距離恋愛だなんて思ったり。

でもね。
そんなこと無かったんだ。
彼の心には、ちゃんと私も居られた。
だから本当は、前から近距離恋愛だったのかもね?

二人で、また新たな近距離恋愛を始めよう。
そして、美月と同じように…いや、それ以上に幸せになろう!

ー番外編『市原優子の恋愛事情』 Finー
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