Pioneerーあなたは私のパイオニアー
そんなこんなで、私達の最寄り駅に着いた。
改札を出た時、荒木先生が私にそっと呟いてきた。わずかに微笑みながら。
「高村先生…さっきの話だけど」
それから、少し間を置いて彼は言った。

「俺は、君の世界の色を変えてみせるから」

「…えっ…どういうことですか」
「あー、やっぱ何でもないわ!ごめんごめん」
「そうですか?もしや今の、こくh…」
「んーまあそうだな!うん。気にしないで。俺、初対面の同僚とこんなに打ち解けられたの初めてだよ。ありがとう」
「私もです。それでは、おやすみなさい!」
「おやすみ」
私達は、それぞれ反対方向に向かっていく。

さっきは冗談で「告白か」と聞いたが…。
もしも、もしもだ。
あれが告白だったなら…私は、彼になんて答えるのかな?

荒木先生。もう少ししたら、その言葉…もう一度、言ってね?

そんなロマンティックなことを考えながら、私は先程感じた彼の温もりを思い出していた。
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