熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
第1話「オトナの階段の上と下」
「…ということでこのままの進路をとりますと、早ければ日曜日の夜半にも台風は沖縄県地方に上陸する可能性が出てきました」
夜のニュースでは、東京のスタジオから気象予報士の女の人が神妙な面持ちで、接近中の大型台風の情報を伝えていた。
だけど、あたし――安座間(アザマ)なぎさが生まれて、15年間を過ごしてきた沖縄は“台風銀座”と呼ばれるほど毎年、たくさんの台風がくるところだ。
だから気象衛星が映し出す、グルグルと巨大な渦を描きながら沖縄へと接近しつつある台風の画像を目の当たりにしても、またか…という感じで、さして気にとめるほどのことでもなかった。
それよりっ! そんなことよりっ!!
あたしは耳の穴を10倍に広げて、ケータイの向こうから聞こえてくる喜屋武(キャン)みさきちゃんの声に聞き入っていた。
「あ~、でも、ソレ、ただの噂じゃないの!?」
「噂じゃない、って! 本当だって!」
「え~、信じらんない」
海乃中学3年C組――つまり同じクラスの知念美帆(チネンミホ)が、学校中の女子にモテモテの我那覇丈二(ガナハジョージ)先生と抱き合ってキスをしていた。しかも場所は体育館の倉庫の中。そんなこと、簡単に信じられるはずなんてない。
夜のニュースでは、東京のスタジオから気象予報士の女の人が神妙な面持ちで、接近中の大型台風の情報を伝えていた。
だけど、あたし――安座間(アザマ)なぎさが生まれて、15年間を過ごしてきた沖縄は“台風銀座”と呼ばれるほど毎年、たくさんの台風がくるところだ。
だから気象衛星が映し出す、グルグルと巨大な渦を描きながら沖縄へと接近しつつある台風の画像を目の当たりにしても、またか…という感じで、さして気にとめるほどのことでもなかった。
それよりっ! そんなことよりっ!!
あたしは耳の穴を10倍に広げて、ケータイの向こうから聞こえてくる喜屋武(キャン)みさきちゃんの声に聞き入っていた。
「あ~、でも、ソレ、ただの噂じゃないの!?」
「噂じゃない、って! 本当だって!」
「え~、信じらんない」
海乃中学3年C組――つまり同じクラスの知念美帆(チネンミホ)が、学校中の女子にモテモテの我那覇丈二(ガナハジョージ)先生と抱き合ってキスをしていた。しかも場所は体育館の倉庫の中。そんなこと、簡単に信じられるはずなんてない。