熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「だから、もしよかったら、まずは友達からなぎさと付き合ってみたいんだ」
「…!?」
そっか…そーいうことか……。
慎重なんだ…。
簡単に恋人にはならないんだ……。
でも―――
「いいよ…友達でいいから…今は友達で十分だから…それだけですごく嬉しいから……」
それがあたしの本心だったわけではない。
でも、今までは遠くから見ているだけでメールや電話しかできなかった。
だから、たとえ“友達”としてでも、ときどき会って、ただ何げないお話しができるだけで…、ただ、涼しげな眼差しと、たとえほんの一瞬でも見つめ合うことができるだけで…、あたしはそれでもよかったんだ。
満足していたんだ。
幸せだったんだ。
ただそれだけで「あたし、今、生きてるんだ」って、スゴク大袈裟なようだけど、生きていることを実感できたんだ―――――