熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「でも見つけてくれて嬉しかった。きっとお客さんのほとんどがお姫様役のみさきちゃんだけを見ていたはずなのに、他の誰も見ていない馬の後ろ足なんかを、ちゃんと見ていてくれる人がいたなんて、ちょっと感動しちゃうかも♪」

「“ちょっと”じゃなくて、かなり感動しろ」

「してる、してる♪ かーなーり感動してる、って♪♪」

あたしはさっきまで凹んでいたのもすっかり忘れて、彼とゲラゲラ笑っていた。



そこへ―――――


「おつかれ~」

「おつかれさま~」

部員たちに迎えられて、今日の主役であるみさきちゃんが、まだお姫様メイクと衣装のまま部室に戻ってきた。

「みさきちゃん、おつかれさん♪」

みさきちゃんのタオルを渡してあげるあたし。

「アリガト~♪ なぎさちゃんのほうこそ、はじめての舞台おつかれさまだよぉ~♪」

汗をふきながら笑ってくれる彼女。

「それにしてもいい演技してたよぉ♪ みさきにはゼッタイできない演技だったしぃ♪」

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