熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~

ちょうど夕方の5時だった。メールの送信ボタンを押したとき、夕焼けこやけの音楽に乗って「よい子の皆さん、おうちに帰りましょ~」の防災放送が流れたから分かる。


だけど―――――


2時間経っても日が暮れても、カフェの前で待ちぼうけ状態のあたし。

いくら待っても彼は来ないし、メールの返事すら来ない。彼のケータイはつながらないし、彼ンちの家の電話もずっと話し中。

夜の7時になっても、おうちに帰らないあたしは“悪い子”かも……などと、どうでもいいことを考えていると…、


ヴィ~ン、ヴィ~ン…


…とケータイがバイブで着信を知らせた。

「…!」

あたしは慌ててバッグの中からケータイを取り出した。

「もしもし、航平くんっ!?」

「……ごめん……みさきだけど……」

「えっ、みさきちゃん…?」

慌てていたから誰からの着信か確認しないで電話に出ていたのだ。
< 118 / 200 >

この作品をシェア

pagetop