熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
全身の力が抜けたみたいに立ち上がれないでいるみさきちゃんを、ようやく部屋まで連れていったあたしは、部屋に入るなり、突然、緊張の糸が切れたみたいにわんわん泣き出した彼女のクチから、とんでもない真実を知らされることになった――――


「みさき…」

あたしのベッドに倒れこむようにして、ひとしきり泣いた後、ようやく落ち着いたのか、みさきちゃんが重いクチを開いた。

「友達としてなぎさちゃんに忠告するけど…比嘉くんとは別れたほうがいいと思う……」

「えっ…!」

もしかして、みさきちゃんの涙の理由が、航平くんにある、ってコト…?

「なぎさちゃん、比嘉くんと友達になった、みたいなこと言ってけど、でも、たとえ友達としてでも、あのヒトとはもう付き合わないほうがいいと思う……」

やっぱり理由は彼にあるんだ……。

「なんで…ねぇ、なんでそんなこと言うの?」

あたしが強い調子で訊くと、逆にみさきちゃんは吐き捨てるようにこう言った。



「アイツはサイテーのオトコだから……」



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