熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「サイテーって…?」

「うん…」

みさきちゃんは言うのをためらっているみたいだった。

「言ってよ、ねぇ、お願いっ」

あたしはどうしても知りたかった。いや、訊かないではいられなかった。

「このことは友達のなぎさちゃんだから話すことだし、ほかのヒトには死んでも黙っててほしいことなんだけど…」

その、もったいぶった言い方が、余計、あたしを不安にさせる。

「死んでも黙っててほしいこと…?」



「みさき……みさき、アイツにヤラれそうになったんだ……」



「ヤラそうに、って…まさかっ…!」

一瞬、頭が真っ白になった―――――


「コレを見て…」

そう言って、ずっと大事そうに持っていた大きな紙袋の中から取り出したのは、彼女の舞台衣装であるお姫様ドレスだった。しかもビリビリに破れている。

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