熱恋～やさしい海は熱砂の彼方～
あたしは黙ってうつむいた。

「もしかしたら、なにかとんでもねぇ誤解をしてるんじゃね？」

「………」

「もし、お前が誤解をしてるんだとしたら、本当のことを、真実を見てほしいと思う」

「真実……」

うつむいたままつぶやいた。

「話してくれねぇか？　ちゃんと俺のほうを向いて。いったい何があったんだ？　なぁ、俺に全部話してくれよ」

「話せない。死んでも黙ってるって、みさきちゃんと約束したっ…」

ここまで言って、あたしはシマッタと慌ててクチを閉ざした。

「みさき、って……アイツと、なにかカンケーがあるのか？」

「………」

「お前が話さないんなら、直接、俺がアイツに訊く。前に強引に番号交換させられたのが、こんなところで役に立つとはな」

彼がケータイを手にする。

「やめてっ」

あたしは彼の手から強引にケータイを取り上げた。

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表紙・目次

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