熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「みさきちゃんは今、あのことを必死で忘れようとしてるんだよっ。それをまた思い出させるつもりっ?」

「いったいなんだっていうんだよっ!?」

いつも冷静な彼が、あきらかにイラ立っているのが分かる。

「今までの話の流れから分析すると、俺はなぎさに対してではなく、喜屋武みさきに対して、なんか、ひでぇことをしたと思われてるみてぇだな?」

「………」

「でも、俺にはまったく身に覚えがねぇ。なぁ? 俺はやってもいない罪で犯人にさせられちまうのか? それじゃあ、まったくの無実なのに花瓶を割った犯人にさせられた、あのときのなぎさと同じじゃね?」

「…!!」


そうだ、あのときと同じだ。島袋くんに花瓶を割った犯人だと濡れ衣を着せられた、あのときと……。あのときは、やってもいないことで犯人にさせられて泣きたいくらいに悔しかった。今でもハッキリ覚えている。


「お前なら、今のこの俺の、悔しい気持ちが分かるじゃねぇのか?」

「………」

「頼むから全部俺に話してくれよ! なぁ、頼むよ!!」

< 136 / 200 >

この作品をシェア

pagetop