熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
航平くんが両手で強くあたしの両肩をつかんで、あたしの目をまっすぐ見つめて言う。その目が怖いくらいに真剣だった。


だから――――――


だから、あたしは全部話した。全部話して聞かせることにした。


「どうしてっ!」


聞き終わるなり、彼が腹立たしげに言った。

「どうして、そのハナシをされたとき、スグ俺に事実確認をしなかったんだ!?」

「訊けるわけないじゃん! ほかに好きなコができたのかなんて、怖くて訊けるわけないじゃん!! それに、みさきちゃんが乱暴されたことは死んでも黙ってる、って約束したし」

「訊いてくれたら俺は無実だと即答した!」

「でも、あのとき…夕食に誘おうとしたとき、航平くんのケータイにはつながらなかった」

「あのとき、って何時だよ?」

「5時だよ。“よい子の皆さん、おうちに帰りましょ~”ってゆう放送が、ちょうど流れてたからハッキリ覚えてる。もちろんケータイに発信履歴だって残ってるし」

「5時なら、俺は自分の部屋にいた」

「証拠は?」
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