熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「みさき……ちゃん」
あたしにとっては本当に意外な発言だった。
「へぇ、そうなの。まぁ、お向かいさん同士だから毎日イヤでも顔を合わせないといけないんだし、ケンカしたときは早く仲直りしたほうがいいわ」
「ハイ」
「なぎさは今、2階の自分の部屋に閉じこもってるんだけど……呼んでこよっか?」
「あの、あたし、なぎさちゃんの部屋まで行っていいですか?」
「いいわよ。お上がんなさい」
「お邪魔しまァ~す」
えっ…あたしの部屋にくるワケ!?
2人の人間――つまり、母さんと喜屋武みさきのが階段を上がってくる音がだんだん近づいてくる。
会いたくないよ、あたし! なんで母さん、あのコを家に上げちゃうワケ!?
近づいてくる足音に、フトンの中のあたしがオロオロしている間に、2人は階段を登りきり、あたしの部屋のドアの向こうから母さんの声が聞こえてきた。
「なぎさっ。みさきちゃんが来たわよ。ドア開けるわよ。いい?」