熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「フェイクじゃないよ、ホンモノだよ♪」

「でもホンモノをあんなにビリビリに破っていいの…?」

あたしが彼女の言っていたことを本当のことだと思ったのも、あのドレスのせいだ。

「あのドレスを着たことがないなぎさちゃんには分からないと思うけど、あのドレスはかなりの年代モノで、アチコチほころんで、もうボロボロだったから、実はあたしが九月祭で着るのを最後に、新しいのを新調することになってたんだ♪」

「…ってことは」

「みさきにとっても、演劇部にとっても、すでに用済みのドレスだった、ってワケ♪」

「知らなかった……そんなこと全然知らなかったよ……」

「だから、みさきがなぎさちゃんをダマすために演る…海乃中学の演劇部で演る最後のお芝居の小道具として、あのドレスを有効活用させてもらった、ってコトだよ♪」

「そっか……あたし、まんまとダマされちゃったワケだ……」

あたしはおバカだ。あんなウソにひっかかったのもおバカだし、航平くんを信じてあげられなかったのもおバカだと思う。


「まぁ、あんだけなぎさちゃんを苦しめたんだから、みさき、もう気がすんだよ♪ だから今度はなぎさちゃんの気がすむまで、みさきのことを恨んだらいいよ♪」
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