熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「そーならそうと、早く言ってくれればいいのにっ…」
「だから、悪かった、って謝ってるし…」
「うえぇぇぇ~ん…」
もしかしてコレって、あたしに無実の罪で疑われ、絶交メールを送られた仕返し?
…だとしたら、その仕返しを甘んじて受けるよ。気がすむように好きにしていいよ。
「うえぇぇぇ~ん…」
「おい、いいかげんに泣きやめ、って…」
電話の向こうの彼が困り果てていると…、
「なぎさ、どうしたんだ? なんか悲しいことでもあったのか?」
…と、父さんが心配して駆けつけてきた。
「ううん、そーゆうワケじゃないけど…」
そーいえば、なんであたし泣いてたんだろう? 少なくとも悲しいからじゃないと思う。
…だとしたら、うれし涙? ソレもなんか違う気がする。
多分、安心して緊張の糸が切れたんだと思う。
もう二度と修復不可能だと思っていた航平くんと、また元通りのカンケーに戻れる、そう思ってホッと安心したんだと思う――――