熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
手がジャマで胸が見えないってコト!?
あたしは怖くなって、急いでその場から逃げ出したくて、スピードUPすべく、足の筋肉に力を入れた。
だけど――――
それから、5、6歩ほど踏み出したところで、突然ふくらはぎに噛み付かれたような激痛が走った。“こむらがえり”だ。
「痛いっ…!」
その場にしゃがみこんで、ふくらはぎを押さえるあたし。
でも、その背後から、なおも今度はおしりのあたりに、まとわりつくような視線を感じる。
「おい、お前! なにやってんだよ!!」
こむらがえりの激痛に顔を歪めながら、声のしたほうを見ると、航平くんが盗撮マニアの手から、ビデオカメラを取り上げようとしていた。
騒然となる父兄席。
「オイ! そこ、どうしたんだ!?」
具志堅先生が、血相をかえてとんできた。