熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「恥ずかしいよっ…みんなが見てるしっ…」

「足がこむらがえりで痛ぇんだろ? 恥ずかしいとか言ってる場合か? ホラ、早く」


「でも……」

…と、あたしがおんぶをためらっていると…、

「あぁ、めんどくせぇっ。おんぶが恥ずかしいならコイツでガマンしろっ」

…と言って、あたしのカラダの横側に回りこむと、左右の手をそれぞれ肩の後ろと太ももの下にやって、あたしを一気に“お姫様だっこ”してしまう彼。

あまりにとっさのことで抵抗することもできずに、されるがまま、アッという間のお姫様だっこだった。


「コッチのほうが、もっと恥ずかしいよ~!」

ホントに火が出て、ボワッと発火しちゃうんじゃないか、っていうほど、顔が超高温状態になった。おまけにヘンな汗まで出てくる。

「あぁ、もう、ケガ人はじっとしてろ。この状態だと俺の足元見えねぇし、バランスとりながらじゃねぇと歩けねぇんだから、あんまし手足をバタバタさせるんじゃねぇ」

「下ろしてよ~! ねぇ、下ろしてよ、ったら~!」

「下ろしたら、お前、歩けねぇだろーがっ」


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