熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~

九月祭が終わって、数日が経った。

航平くんに小説のアドバイスをしてもらうようになってから1ヶ月とちょっと。やっとついに、記念すべきあたしのケータイ小説・第1作目を完成させることができた。


そして―――――


昼休みの屋上に彼と2人で並んで立って…、

「いい? いくよ」

あたしは汗と涙の結晶の処女作を、ケータイ小説サイトにUPした。


この瞬間、ケータイ小説家・安座間なぎさが誕生した。


ちなみに作家名はさんざん2人で考えたあげく、“なぎさ”から取って『凪姫(なぎひめ)』にした。

“凪”っていうのは海で風が吹かない状態のこと。

おとなしくて、ものしずかなあたしのイメージかも、ってことで最初は『凪』の一文字にしようかとも思ったんだけど、せめてネットの中だけでも、お姫様になりたいというあたしのたっての願いで『凪』のあとに『姫』をつけて『凪姫』が誕生したってワケ。


「よくがんばったな♪」
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