熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
そう言って、彼があたしの頭をなでて“いいこ、いいこ”してくれた。
ワーイ、嬉しい♪ めっちゃ嬉しい♪♪
あたし、“いいこ、いいこ”されるのって、小っちゃい頃以来、久々だけど、かなり好きかもしれない。
「ま、喜んでるところに水をさすつもりはねぇけどさ、あの作品、アレで完結しちまうのか? だって、最初は“第1話”にしようとか言ってたじゃん」
たしかに彼の言うとおりだ。
「今回はとりあえず“短編小説”ってことで…。もちろん、もっと実力がついたら“長編”にも絶対チャンレンジするよ」
「そっか…。でもな、あの小説は“実話系”の作品だろ?」
「うん」
「…ってことはあの小説の主人公の“まりな”ってコは、もう一人のなぎさってことだ」
「そーだよ。だから、相手役の“ナゾの転校生”は、もう一人の航平くん」
あたしは途中で、当初の構想を大幅に変更して、あたしと彼とのことを作品にしたのだ。もちろん細かいところは変えて、脚色しているんだけど。