熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
最終話「終わらない二人の夏」
日曜日の町を2台の自転車が並んで走る。
あたしの自転車と航平くんの自転車。
オトナ同士のデートなら、カレシが愛車で迎えに来て……なんていうシーンも妄想してしまうけど、あたしたちはまだ中学生だから、ひたすら自転車をこいで、こぎまくる。
でも風を……クルマの中にいたら感じられない9月の風を、全身に感じながら走るのも悪くない。
さっきまでは排気ガスの混ざった風だったのが、いつの間にか潮風に変わっている。
「ガンバレ、ラストスパートだ」
彼が自転車のスピードを上げる。
「あ、待って~」
麦わら帽子にワンピースのあたしは、風で帽子が飛ばないように右手で押さえながら、一生懸命に彼のあとについていった。
やがて――――
海へと通じる道の最後の難関である長い長いトンネルをくぐり抜けると、海があたしたちを待ってくれていた。
「あたし、海に来たのって久しぶり」
海なら、いつも学校の窓から見えてはいるけど、こうして砂浜に足を踏み入れるのは本当に久しぶりだった。
あたしの自転車と航平くんの自転車。
オトナ同士のデートなら、カレシが愛車で迎えに来て……なんていうシーンも妄想してしまうけど、あたしたちはまだ中学生だから、ひたすら自転車をこいで、こぎまくる。
でも風を……クルマの中にいたら感じられない9月の風を、全身に感じながら走るのも悪くない。
さっきまでは排気ガスの混ざった風だったのが、いつの間にか潮風に変わっている。
「ガンバレ、ラストスパートだ」
彼が自転車のスピードを上げる。
「あ、待って~」
麦わら帽子にワンピースのあたしは、風で帽子が飛ばないように右手で押さえながら、一生懸命に彼のあとについていった。
やがて――――
海へと通じる道の最後の難関である長い長いトンネルをくぐり抜けると、海があたしたちを待ってくれていた。
「あたし、海に来たのって久しぶり」
海なら、いつも学校の窓から見えてはいるけど、こうして砂浜に足を踏み入れるのは本当に久しぶりだった。