熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
恥ずかしすぎて航平くんはもちろん、ほかの海水浴客の顔さえ見れずに、うつむいているあたしがいた。
覚悟を決めて来たはずなのに、やっぱり水着は恥ずかしくて、海の家の更衣室から出てきたあとも、バスタオルを巻いて胸元を押さえ、厳重にガードしまくっていたのだ。
「見ないでっ…(照)」
「お前、ガードが固いってゆーか、ここまで来て往生際が悪いってゆーか、なんか、そのカッコ、旅番組の温泉レポーターみてぇ」
「そっかなぁ…」
辺りを見回すと、まわりの女のコたちは、オンナのあたしが見ても目のやり場に困るような、小っちゃいビキニをみんな着ていた。
「最近はフツーのコでもヘーキで、グラビアアイドルみたいな水着を着てるんだね…」
ある意味、感心する。
「あたし、よく思うんだけどさ…、ブラもビキニもカタチ的にはまったく同じカタチのを着てるのに、なんでブラのときだけ恥ずかしがって、ビキニのときは全然ヘーキで人前に出られるんだろ…?」
本当に不思議。
「だって用途が違うってゆーか、ビキニはヒトに見られることを前提にしてんじゃん。それより、やっと海に来れたんだ。とっとと泳ごうぜ」