熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「あぁ」
「まりなの15年間の人生の中ではいろいろあったし……泣いちゃうこともあったけど……でも、まりなは……ずっと臆病で意気地なしだったまりなは、ナゾの転校生と出会ったことで……少しずつだけど……本当の自分を出せるようになったと思うんだ」
「あぁ、そうみたいだな…」
「だから、まりなは……まりなは、ナゾの転校生のことが……好き……なんだと思う……。うん。まりなは、ナゾの転校生のことが大好きなんだよ」
さっきより心臓の鼓動が早くなっていた。なのに、思っていることが素直に100%言えているあたしがいた。
「そっか。そーなんだ。ナゾの転校生とまりなはお互い好き同士だったんだな?」
潮風にそよぐサラサラ前髪の下にのぞくまなざしは、いつもは涼しげというより、どこか冷めているような感じがするのに、今日はその中にひだまりのような温かみがある。
「うん、まりなとナゾの転校生はお互い好き同士だったんだよ♪」
嬉しくて、あたし、彼の手をとってギュッと握る。