熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「なるほど、それで盗撮先生は断罪されたというワケか。だが、その先生と僕とじゃ、やってることが全然ちがうだろ?」
「条例や法律で裁けることだけが“悪”とはかぎりませんよ」
キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン…
「はい、はい、分かった、分かった。よぉーし、じゃあ、時間になったから解答用紙を回収するぞー」
先生はあくまでオトナで、青臭い比嘉くんなんて、まるで相手にしていない。
だけど、それから数日後、1学期の終業式の中で、全学年の生徒に向かって半泣き状態で謝罪をしている先生がいた。
「…そう思うと、みなさんの気持ちを考えることもなく、配慮に欠けるオトナらしからぬ軽率な行ないでした……。今後、みなさんに不快な思いをさせるような行ないは、もう2度としないことを、みなさんと他の先生方の前で誓い、お約束いたします……。この度は本当にすみませんでした」
真正面から背中が見えるほど、深々と頭を下げる先生。
以前から噂のあったセクハラ疑惑が、学校中の全生徒と全教師のあいだに白日のもとにさらされたのは、学校新聞の号外に、先生がまさに女子のおしりを触っている瞬間のスクープ写真が掲載されたからだ。