熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
写真を撮ったのは最近、新聞部に入部したばかりの比嘉くんだった。
今回のことがもし世間やマスコミにでも知られていたら、先生は良くて停職、悪ければ懲戒免職になっていたかもしれない。
「ありがとう」
その日の帰りしな、ずっと言えなかったひとことがようやく言えた。
「比嘉くんのおかげで、もう誰も先生からセクハラされないようになります」
「礼を言われる覚えはねぇよ。あくまで俺は真実をみんなに知ってもらいたくてやっただけであって、別にお前ら女子のためにやったわけじゃねぇから」
突き放すような言い方だった。
まぁ、いいふうに解釈すれば、先生の罪を断罪した自分の正義の行ないを誇ることもなく謙そんしている、っていうふうに思えなくもないけど。
「で、でも、あのとき…あたしが花瓶を割った犯人にされそうになったとき助けてくれたのは…?」
恐る恐る切り出した。
「あぁ、あんときはお前が濡れ衣を着せられても黙ってるからイライラして、ついやっちまっただけだ」