熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「えっ…!」

気が焦るあまり、スカートのファスナーが全開のまま外に行こうとしていたあたし。そういえば、なんか、さっきからスースーすると思った。

あたしは素早くファスナーを上げると…、

「ありがとっ。じゃ、あたし急ぐからっ」

…とゴメンと手を合わせて、部室を飛び出していった。

「なぎさちゃん、なに、そんなに急いでるのぉーっ!?」

背中から、みさきちゃんの声が聞こえたけど、あたしは廊下を走りながら振り向かないで、こう答えた…、



「今から神さまに会いに行くんだよ~♪」



…って。

「カ・ミ・サ・マ?」

きっとみさきちゃん以外の、あたしの声が聞こえていたみんなも首をかしげていたに違いないけど、あたしはかまわずダッシュ、ダッシュ!

いつもなら胸が揺れるのがイヤで、体育のとき以外はゼッタイ走ったりしないあたしだけど今日だけはトクベツ。走らなきゃ、アレが終わってしまう。

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