熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
だから“ケータイ小説界のカリスマ”とか“少女たちの神さま”とか、あと“純愛の神さま”ともマスコミから言われている。

そんな雲の上の存在の魚住ととが、沖縄でイベントを開いたのは、新刊本が沖縄を舞台にした『美ゅら海人魚(チュラウミニンギョ)』だったからにほかならない。



うわっ…。こないだ『プリンセスのディナー』のブックコーナーで、インタビューされてるのを見たけど、テレビで見るよりずっと華奢(きゃしゃ)なんだ。…ってゆーか、小っちゃい!!

どれだけ時間が経ったか分からないけど、ようやくあたしの順番がきたんだ。

あたしが小刻みに震える手で整理券を差し出すと、神さまはそこに汚い字で書いてあったあたしの名前をご覧になられて、やさしそうな笑顔でもって、こうおっしゃってくださった…、

「ごめ~ん、名前の読み方を教えてもらってもいいかなァ? 沖縄のヒトの名前って読み方が難しいから~♪」

ひぇ~っ。恐れ多いよォ~。神さま、あたしなんかに“ごめん”なんて言わないでくださいよぅ~…。

「あ、アザマです…」

聞こえるか聞こえないかの小さい声。

「そっか♪ 安座間なぎさちゃんね♪」


< 48 / 200 >

この作品をシェア

pagetop