熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~

また、ひとこともしゃべれなかった。思いっきし自己嫌悪。

あ~ァ、あたしってバカみたい…。いつも一人で妄想してるばっかで、結局、何の結果も出せないんだよね……。

イチかバチかでやってみるような、そんな勇気があたしにはないんだ……。


あたしにとって比嘉くんは、いつも遠くから見ているだけの、そういう存在でしかなかった。

ソノ彼がさっきまで目の前にいたのに…、おまけに向こうのほうから話しかけてきてくれたのに返事さえできなかった。

冷たくされたこともあるけど、いつか、きっかけさえあれば、話しかけてみたいと思っていたのに…、あんなこととか、こんなこととか、話したいことをいっぱい考えていたのに、いざ本人を目の前にすると何も言えなくなってしまう。

でも、もし言いわけができるなら、今日のは、あまりにも突然すぎた。心の準備もできていなかったし、ああいう予想外のハプニングが起きれば、あたしじゃなくてもゼッタイ動揺するに決まっている。


…とはいうものの、アレは千載一遇のチャンス到来だったのかもしれないし、それを無にしていたのかもしれない。

なんかホント…自分で自分がイヤになる。…ってか、死にたくなる―――――
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