熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
あたしより、みさきちゃんを選んだんだ!!
許せないっ! ヒドイっ!!
そのとき、あたしは幼稚園児ながら、みさきちゃんに対してオンナとしてのジェラシーを感じた。
そして、まちがいなくソレ以来だと思う。あたしがみさきちゃんに対して劣等感を感じるようになったのは―――――
「ねぇ、どうなの? 比嘉くんのこと、どう思ってるのぉ? キョーミあるの? ないのぉ?」
ベッドの上から中3のみさきちゃんが言う。
「いつ、あたしが比嘉くんにキョーミあるなんて言った?」
思わず、あたしは口走っていた。
「言わないよね? 比嘉くんのことなんて、あたし、全然ナンとも思ってないよ」
あの日、決して消えることのない深い深い傷を心に負わされて以来、あたしはスッカリ臆病で、意気地なしで、情けない女になってしまった。
最初は、みさきちゃん個人に対する劣等感だけだったはずなのに、いつの間にか、どうせ何をやってもダメなんだ…、みたいに思うようになっているあたしがいた。