熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
そうだとしても…、あたしは臆病で、意気地なしで、情けない女だし……、それにたとえライバルがみさきちゃん以外のコだったとしても、競争率の高い比嘉くんとは、どっちにしても付き合えるはずがない。
「そっか♪ なぎさちゃん、比嘉くんのこと好きじゃないんだぁ♪」
あたしのウソ発言を、すんなり聞き入れてしまうおバカなみさきちゃん。
…ってか、あのぅ、あたし、ナンとも思ってないとは言ったけど、好きじゃないとまでは言ってないんだけど。ま、いっか。
「よかった♪ みさき、親友同士で一人の男のコを奪い合うなんてヤだし♪」
「確かに…、そーいうのって、みじめで、悲しくて、イヤだよね……」
「ねぇ、念のために、もう一回だけ訊くけど、なぎさちゃん、ホントに比嘉くんのことナンとも思ってないんだね? 好きじゃないんだよね?」
「だからナンとも思ってない、ってば!」
あたしは、いつからこんな大ウソつきになってしまったんだろう。
今度の登校日に比嘉くんはこないだの写真を渡してくれる、と言っていたけど、もしあたしが彼と会ってるところを見られたらどうしよう。今度はどんなウソをついてゴマかせばいいんだろう―――――