熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「おぅ、任せろ!」

でも航平くんの笑顔は自信に満ち溢れた正真正銘ホンモノの笑顔で、まだ少し不安なままでいるあたしの背中をポンと後ろから押してくれているみたいで心強かった。

「うん♪」

思わず自然と笑みがこぼれた。きっと今なら“えくぼ”ができていると思う。

あたし、航平くんの前でなら、いつでも“えくぼ”を見せてあげられると思う。分かんないけど、不思議とそんな自信があるんだ。


それにしても、今までずっと遠くから見ていることしかできなかった航平くんなのに、たったひとこと…、

「おはよう」

…と言っただけで、こんなにフツーに話をはじめることができるなんて。

今までいったいどれだけのムダな時間を過ごしてきたんだろう。あたしって、もしかしたら、みさきちゃん以上のおバカかもしれない。

あいさつひとつで心の扉が開くんなら、もっと早く話しかけていればよかった。これからは今までの遅れたぶんを全部取り戻すためにも、もっといっぱい話をしよう。


航平くんとフツーに話しができる、そんな他愛のない、だけど昨日までは妄想でしかなかったことが今、現実となってあたしの目の前で現実に起こっていた。
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