熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「これでみさきも、またひとつお利口さんになったワケだ」
みさきちゃんに、あたしが本屋さんの前で比嘉くんと会っていたことをチクッた張本人のクセに、そのことを直接あたしに訊いてこないところを見ると、なみは昨日のうちにみさきちゃんから話を全部聞いていたんだろう。
「うわっ…。なにアレ…?」
一番廊下側の席の美帆が聞こえるような、聞こえないような声で言った。
でも、しっかり聞こえていたあたしと、みさきちゃんと、なみは一斉に美帆を見た。
ソレに気づいて美帆が言う。
「アレ見てよ。あの、前髪のかき上げ方」
言われて視線を動かしてみると、ちょうど航平くんが教室に入ってくるところだった。
「あーいうの、ナルシストっていうの? 自分のカッコ良さに酔ってるんじゃないの?」
美帆のことばに、ちょっとトゲがあるみたいに感じる。
たしかに、眉間にシワ寄せながら、おでこの真ん中から、手グシで長めのサラサラ前髪をわさーっと後ろのほうに、かき上げる仕草は、他人に見られていることを意識しながらの行為のように感じられなくもないけど。
「でもナルシストでもいーじゃん♪」
みさきちゃんが言った。
みさきちゃんに、あたしが本屋さんの前で比嘉くんと会っていたことをチクッた張本人のクセに、そのことを直接あたしに訊いてこないところを見ると、なみは昨日のうちにみさきちゃんから話を全部聞いていたんだろう。
「うわっ…。なにアレ…?」
一番廊下側の席の美帆が聞こえるような、聞こえないような声で言った。
でも、しっかり聞こえていたあたしと、みさきちゃんと、なみは一斉に美帆を見た。
ソレに気づいて美帆が言う。
「アレ見てよ。あの、前髪のかき上げ方」
言われて視線を動かしてみると、ちょうど航平くんが教室に入ってくるところだった。
「あーいうの、ナルシストっていうの? 自分のカッコ良さに酔ってるんじゃないの?」
美帆のことばに、ちょっとトゲがあるみたいに感じる。
たしかに、眉間にシワ寄せながら、おでこの真ん中から、手グシで長めのサラサラ前髪をわさーっと後ろのほうに、かき上げる仕草は、他人に見られていることを意識しながらの行為のように感じられなくもないけど。
「でもナルシストでもいーじゃん♪」
みさきちゃんが言った。