熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「ごめん、それはできないよ…」
「え、なんで? ひょっとして俺と会いたくねぇとか?」
「そんなことないっ!!!」
あたしは慌てて否定した。
会いたくないわけない。会いたいよ。会って少しでも長い時間いっしょにいたいよ。
「じゃ、なんでだよ?」
その声がちょっと不機嫌なカンジだった。
「その……航平くんは女子に人気があるから、もし2人で会ってるところを目撃されたりしたら、あとでいろいろ大変だし……」
特に、みさきちゃんだけにはゼッタイ見られちゃいけない。
「それにケータイ小説の指導をしてもらってるのが分かったら、あたしが小説家を目指してるのが、みんなにバレちゃうじゃん」
「あ~、そーいうことか…。じゃあ、みんなが普段あんまし行かねぇようなところで会えばいいんじゃね?」
「そんな場所ないよ、小さい町だから。おもてを歩いてると必ず知り合いに出くわしちゃうんだ。ホントやんなっちゃう」
「じゃ、俺、お前んちに行こっか?」
「それはダメっ!!」