恋=結婚?
「あ、あのー」
「はい」
「梨央奈ですけど」
「ああ、梨央奈ちゃんか、久しぶりだね」
「あの、その、すみませんでした」
「何が?」
電話の向こう側の聡さんは本当に不思議そうにそう聞き返してきた。
「なんか利用したみたいで」
「あー、ああ。いや。僕も利用させてもらったからね」
「え?」
「おばがうるさくってね。梨央奈ちゃんがいてくれたおかげで見合い話持ってこられずに済んだよ」
「は、はあ」
なんだ聡さんも同じだったのか。
「で、どうなったの? 片思いの彼とは?」
「あ、あの……その、け、結婚します」
「! それはまた急な展開だね」
「あ、はい。その、すみません」
電話の向こう側の聡さんがクククと笑った。
「そんなに恐縮しなくていいよ。よかったね。上手くいって」
「はい。ありがとうございます」
「わざわざ直接伝えてくれてありがとう」
母に聡さんとの関係を告白して聡さんの連絡先を教えてもらったのだ。もちろん結婚することを話してからだけど。
「い、いえ。聡さんもその頑張ってください」
何をとは言えなかった。おばさんから逃れることか結婚することか。
「ああ、ありがとう。じゃあね、梨央奈ちゃん」
「はい。じゃあ。ありがとうございました」
電話を切るとフーッと息を吐く。慣れないな男の人と話をするのって。智也とはあんなに話をするのに。
「どうした? なんか言われたのか?」
智也が心配そうに聞いてきた。
「ううん。大丈夫。なんにも。逆にお礼を言われちゃった」
「そっか」
「うん」
***
それからしばらくして年末がやってきた。智也は後から私の実家に来ることになった。智也のことは先に父に告げておいたほうがいいということで私が先に実家に帰って話すことになっている。
母にはこの前話をしたし紗子には話はもう伝わっているのだろう。実家で会った紗子は妙にニヤニヤしていた。
父に話すタイミングが取れず、ズルズルと夜になってしまった。こうなったらお酒を飲ませるしかない。記憶をなくしてしまう前に話をしてしまおう。
「梨央奈、聡さんのことは残念だったなあ」
「へ?」
残念? 一体どんな風に話が伝わったんだろうか。それにしても元気がないと思ったらそういうことか。見合い話が壊れてしまったとガックリしてたんだ。
「次は大丈夫だぞ。な、まあお前も飲め。今日はヤケに大人しいな」
「あ、あのねお父さん。その……」
ピンポーンとこのタイミングで誰か来たみたいだ。誰よ! こんな遅くに!
「梨央奈!」
母がこちらを見て手招きをしている。え? 私の知り合い?
思い浮かぶ人は誰もいない。
母の方へ行って見ると
「吉野君が来てるのよ」
「え? ええ?」
「どうした梨央奈?」
「な、なんでもない」
なんでもないことはない。どうしよう。まだ話をしてないのに。でも、いつまでも玄関先に智也をまたしておくわけにもいかない。こんな季節だし風邪でも引いたら可哀想だし。
「梨央奈話をしてないんでしょ?」
「でも、仕方ないよ。入ってもらって」
母は頷くと玄関に向かった。
「はい」
「梨央奈ですけど」
「ああ、梨央奈ちゃんか、久しぶりだね」
「あの、その、すみませんでした」
「何が?」
電話の向こう側の聡さんは本当に不思議そうにそう聞き返してきた。
「なんか利用したみたいで」
「あー、ああ。いや。僕も利用させてもらったからね」
「え?」
「おばがうるさくってね。梨央奈ちゃんがいてくれたおかげで見合い話持ってこられずに済んだよ」
「は、はあ」
なんだ聡さんも同じだったのか。
「で、どうなったの? 片思いの彼とは?」
「あ、あの……その、け、結婚します」
「! それはまた急な展開だね」
「あ、はい。その、すみません」
電話の向こう側の聡さんがクククと笑った。
「そんなに恐縮しなくていいよ。よかったね。上手くいって」
「はい。ありがとうございます」
「わざわざ直接伝えてくれてありがとう」
母に聡さんとの関係を告白して聡さんの連絡先を教えてもらったのだ。もちろん結婚することを話してからだけど。
「い、いえ。聡さんもその頑張ってください」
何をとは言えなかった。おばさんから逃れることか結婚することか。
「ああ、ありがとう。じゃあね、梨央奈ちゃん」
「はい。じゃあ。ありがとうございました」
電話を切るとフーッと息を吐く。慣れないな男の人と話をするのって。智也とはあんなに話をするのに。
「どうした? なんか言われたのか?」
智也が心配そうに聞いてきた。
「ううん。大丈夫。なんにも。逆にお礼を言われちゃった」
「そっか」
「うん」
***
それからしばらくして年末がやってきた。智也は後から私の実家に来ることになった。智也のことは先に父に告げておいたほうがいいということで私が先に実家に帰って話すことになっている。
母にはこの前話をしたし紗子には話はもう伝わっているのだろう。実家で会った紗子は妙にニヤニヤしていた。
父に話すタイミングが取れず、ズルズルと夜になってしまった。こうなったらお酒を飲ませるしかない。記憶をなくしてしまう前に話をしてしまおう。
「梨央奈、聡さんのことは残念だったなあ」
「へ?」
残念? 一体どんな風に話が伝わったんだろうか。それにしても元気がないと思ったらそういうことか。見合い話が壊れてしまったとガックリしてたんだ。
「次は大丈夫だぞ。な、まあお前も飲め。今日はヤケに大人しいな」
「あ、あのねお父さん。その……」
ピンポーンとこのタイミングで誰か来たみたいだ。誰よ! こんな遅くに!
「梨央奈!」
母がこちらを見て手招きをしている。え? 私の知り合い?
思い浮かぶ人は誰もいない。
母の方へ行って見ると
「吉野君が来てるのよ」
「え? ええ?」
「どうした梨央奈?」
「な、なんでもない」
なんでもないことはない。どうしよう。まだ話をしてないのに。でも、いつまでも玄関先に智也をまたしておくわけにもいかない。こんな季節だし風邪でも引いたら可哀想だし。
「梨央奈話をしてないんでしょ?」
「でも、仕方ないよ。入ってもらって」
母は頷くと玄関に向かった。