相良くんはなびかない



「なにそれ、課題?」

「そうそう、先生が授業の準備してなかっただけで課題を、…………」



今、当たり前かのように話してたけど、幻聴?いや、幻覚?

もしかして、課題が難しすぎて知恵熱出して倒れて夢でも見てます?



「アンタ、バカなの?」



佐倉の言う「バカ」とは重みが違う…。

1tの重みがあるよ、のしかかってくるよ、
押しつぶされそうな重量だよ!!


間違いない、幻聴でも幻覚でも夢でもない。

これは相良くんだ。



「アンタは準備もできないわけ?」

「今日だけです!」



準備を忘れてたのは完全に相良くんのせいなんだからねっ。


……相良くんは沢田さんと、何、話してたの?



「…相良くんは帰らないの? あっ、別に課題教えてくれてもいいんだよ!なんちゃってー、あははー」



冗談じみた感じで笑う。

まさか相良くんが教えてくれるとかそんな夢みたいなことは起きないだろうし。



「いいよ、教えてあげる」

「ですよねー、…って、え!?」



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