相良くんはなびかない
相良くんは今日もなびかない
「ねえねえ、鈴菜」
珍しくも私に声をかけてきたのは美嘉だった。
友達のはずなんだけど、私ばっかり話しかけてる気がするよ…!
それなのに美嘉が話しかけてくるなんて珍しい。
「どうしたの?」
「バレンタインのチョコ、一緒に作ってもらえない?」
「えっ、好きな人でもできたの!?」
美嘉からそんな話聞いたことないんだけど!!!
私の友達にも春がきたみたいだね!今冬だけど!
「すぐに恋愛に持ってかないでもらえる?ただ部活の話の流れで作ることになっただけだから」
そういえば美嘉って陸上部のマネージャーしてたっけ。
「陸上部の中で好きな人とか「好きな人とか作ってる暇ないって」へー…」
確かに美嘉って大変そうにしてる気がする。
ちなみに私は帰宅部だから忙しさとは全く無縁なんだけどね!
「陸上部って部員たくさんいなかったっけ?大変じゃない?」
「だから手伝って」
「しょうがないなあ、大変な美嘉ちゃんをこの私が手伝ってあげるよ!」
「ありがとー」
「棒読みなんだけど!」
相良くんと一緒に帰った放課後から、特に何もなく私は高校2年のバレンタインを迎えようとしていた。