相良くんはなびかない
* *
「あ〜、重い」
「陸上部の部員分ってそりゃあ重いよね」
放課後。
私と美嘉は買い出しに来ていた。
もちろん、バレンタインのチョコレートの!
「バレンタイン楽しみだね、えへへへへ」
「怖っ」
「どこが!」
「顔」
「ひどっ!」
相良くんにも顔が妖怪みたいだって言われたけど、そんなひどい顔してる!?
友達認定のひどさなの!?
「笑い方が怖いのよ」
「普通に笑ってるよ」
「ふーん」
流石に顔はどうにもできんぞ??
生まれつきこの顔だし。
それに笑い方が怖いっていうのがよくわからない。
普通に笑ってるつもりなんだけどなあ。
「あ、着いた」
「ん、どうぞ入って」
美嘉の家はいつ見ても大きい。
キッチンも広くてきれいだから、チョコレート作りの手伝いは美嘉の家ですることになっていた。